志村けんさんの訃報を聞いて、「トラは死して皮をとどめ、、」という説話を思い出した。

なんぼ感染者数を上げてもらっても、そんな程度ではないってみんな思っている新型コロナのニュースに、うんざりしそうだった日々に、彼の死は、新型コロナの恐怖や危機に真剣になることを確実に促してくれた。

政府の方針や都知事の会見のどんな言葉よりも、説得力がある。

すぐれた役者は、こころにくい込むすぐれた役者で逝った。
「虎は死して皮を留め　人は死して名を残す」
「死しても　と　も　を入れたい」。説話の意味の通り、努力し続ける一生だったんだろうな。

いつのころからだろうか、春が、命の勇躍する季節と素直にとらえられなくなったのは。
「春風」というやさしいひびきながら、時折の肌にひりひりと突き刺すような冷たい風に、季節についてゆけないような老いの身を改めて突きつけられる思いをするようになった。
ましてや、コロナの春。
それでも、陽射しを求めて庭に出ると、子供たちの声。
春休みの行き場を失くした子供たちも、とりあえずの外でのひとときを過ごしているのだろう。

むらさきと白。
名残りのアネモネは母の逝った７年前、その年、なんとなくアネモネはムラサキと白を選んで植えた。
ムスカリのムラサキ。ツルニチニチソウの淡いムラサキ。
そしてハナニラの白、白い金魚葉ツバキ。
やさしい顔して、あっちの隅、こっちの隅に数を増やすスズランスイセンの強さ。
さくらは二階の窓から神社の森。ぼーっとピンクの靄で広がって、昨日はちらほら、今日はあの枝満杯と楽しませてくれる。
なんの解明も無い「さくらを見る会」で薄汚れたさくらとは違うワタシの街のさくら。

せっかく町内ふれあいグループで作ったリメイク品や手芸作品を自治会総会の参加賞にと張り切っていたのに、
総会がコロナのせいで中止。気が抜けた。
さて、町内６２軒分の作品、どうするか。
新年度の役員さんやふれあいグループのメンバーと相談するにも、今ちょっと集まってというのも気が重い。

今一番可哀そうだし、不安の中に居る子供たちに、バッグを作ろう。
入学も進級もあるし、男の子６名、女の子３名分。未来のこの町の担い手だもの。
わざわざお礼に来てくださったママ。子供たちがバァサン仕立てのバッグを持っていてくれて、うれしかったよ。

　せっせとマスクを縫う。
お彼岸のお客様のお土産は鰻とマスク。
変な取り合わせだけど。
昔、漫画で鯛がマスクをしている一コマがあった。マスクをしていても、単におさかなではなく鯛とわかったあの絵。
ウナギがマスクしている図はどんなだろ。
ワニのマスクは、大変でしょうなぁ。
ましてや、イワシの大群たちがマスクしたら、人間界のマスク不足なんて足元にも及ばん。
さて、象さんのマスクはどんな形になるんだろ。

カバンにしろマスクにしろ、明るい布を相手にするのは気が晴れる。

家に籠ることは本望だから、外出禁止も不足はないんだけど。
こうして好きなことやってりゃ、免疫力も上がるだろ。
しかし、不気味な春です。

お弁当は確実に人に作ってもらった方がうれしい と、ずっと思って来た。
家を離れて、お勤めをはじめて、自分で作ったお弁当を開けるお昼は、ちょっと切なかった。
作ってくれた母の想いや、蓋を開けた時の小さな驚きが、交錯したのだろう。
息子氏に頼まれたわけでもないので、遠慮しぃしぃ作り出して、１０年。
「文句たらだら」が黙って、一粒も残さず食べてくることは、あるいは、携帯忘れても、「ベント　ベント」と慌てているのは、悪くはないんでしょ。

しゃれたお弁当ではない。ぎっしり詰まったご飯と、別にプチトマトやいちごが入っているわけでなく、もちろんインスタ映えからほど遠い。
茶色おかず満杯のオッサン弁当。
しかし、コレが楽しい。蓋をする時に、ほれぼれする時がある。

小さな所帯だから、朝昼晩のメニュゥはお弁当にどう使えるかから、考える。
味噌汁のミツバは、出汁巻き卵の芯になるし、ハンバーグ種は嵩増しのスコッチエッグになる。
蒸し鶏は、夜サラダに使い、お弁当用には、食べるラー油に一晩漬けておく。裂いてきゅうりと合わせれば、ピリッとした棒棒鶏。
ピンチの時は、ご飯ものでフォロゥして。
超勤が続くなぁと思えば、残りご飯で作った小さな焼きおにぎりプラス。
脇を固める常備菜は、ごまめ。
どうも、彼は外食の同僚尻目に、早や弁をやってござるらしい。

けっこう高くつくのは事実だけど、弁当代要求して、ワタシの趣味がなくなる方が、怖い。
本日のメニュゥ。
新玉ねぎいっぱいの豚肉生姜焼き、じゃがいものバター炒め。三度豆のゴマ和え。
すきまが出来たから、ニラ玉詰め込んで。
本当は彼のお嫁さんの仕事だろうけど、今んとこ気も無し。
それにうちはこの話題はご法度だし。